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AppleでなくともできることをAppleがしてはいけない

投稿日: | 投稿者:生田 明子

アップルが10月23日に発表した多機能タブレット端末の小型版「iPad mini」世界の多くから疑問を呈されたようで、今日はあちこちのサイトで疑問の声が上がっています。

その疑問の声の本質を探ってみましょう。Jobsが生きていれば、強いマネジメント力が発揮され、「そんなのだめ!」と一蹴したと私は予想します。確かにiPhoneでは小さすぎる、iPadでは大きすぎると思う人もいるでしょう。しかし、Appleのこの市場における業界地位は「リーダー」なのです。

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市場における企業の業界地位は大きく次の4つに分けられます。

リーダー・・・市場においてナンバー1のシェアを誇る企業
チャレンジャー・・・リーダーに次ぐシェアを保持し、リーダーに競争をしかける企業
フォロワー・・・リーダーやチャレンジャーの戦略を模倣して、市場での地位を維持している企業
ニッチャー・・・小さいながらも特定の市場で、独自の地位を築いている企業

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マネジメントとマーケティングは表裏一体のものであり、マーケティングは決して大衆に迎合するものではありません。企業とブランドを維持するには強いマネジメントが必要です。

リーダーであるAppleはこのスマートフォン、タブレット端末業界において、トップのシェアを誇っていると同時に、強力なチャネルと商品開発力を持っています。リーダーの企業はほとんど業界と同一という認識をされたり、周辺でうまみを共有できる企業から市場チャネルでの連合をもちかけられるメリットなどで市場を占有しやすくなる可能性があります。

ところが陥りやすいリスクとして、その資金力や技術力、販売チャネルを生かして、フルライン戦略(品種や価格帯を幅広く品揃えする戦略)、全方位型のマーケティングをおこなってしまいます。

今回、Appleがとってしまった商品戦略は、まさにこれで、Jobsが生きてさえいれば、「iPadはこういうもの!」という基本を失うことはなかったと思われます。教科書的に言えば、まさにやってはいけない、やらないほうがいいことをやってしまいました。

Appleの強みは尖っていることで、今まで誰も実現しえなかった圧倒的な目新しいものを作り上げることができることです。今回のiPad miniは、チャレンジャーである企業がリーダーとの差別化の中で実現できることであり、Appleでなくともできることだったはずです。

AppleがAppleらしくあり続けるには、AppleでなくともできることをAppleがしてはいけないのです。Apple自身がイノベーションして、まったく新しいものを作り出す前に、次々とチャレンジャー企業やフォロワー企業が追い付いてくるのは予想できることで、それでも常に半歩前、一歩前に進むために資源を投下するべきだったのです。

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2012/10/25追記

スマートホン>スマートフォンに修正しました。

さて、記事公開後、一晩の間にいろんな方からご感想をいただきましたので、追記します。

チャンネルを多様化させることで今までiPadが大きすぎるとか重いと避けていた女性や子供、高齢者、kindleなどを使って小サイズで電子書籍を読んでいた層には受けるので、そこそこそれなりに売れると思いますが、その戦略自体が経営幹部の決断の揺れ(その市場を無視できない、特別新しいものがないので、売り上げについて株主に突っ込まれたくない)なのです。

今回、iPhone5で実現できたいろんなこともiPad miniで実現できたこともおおよそ予想の範囲もしくはこれまでの延長でまったく目新しいものはありません。中途半端さは否めません。Appleは各デバイスを介して「体験」を売っていますが、それはAppleのどのデバイスでもすでに体験できた何かの延長でしかないのです。

サイズ違い、軽量化によって喜ぶマーケットはこのスペックによって使ったときの心地良さで一定の評価をします。しかし、そのどれをとっても画期的なものではないのです。激戦が始まったスマートフォン、タブレット端末市場において、Appleがすべきだったのは、この単なるサイズ違い、軽量化によって使ったときの心地良さを評価されるものを投入することに資本(金、人、コト、モノ・・・)を消耗するのではなく、もっと未知の世界に(やっているはずですが)資源を集中させるべきだったのではと思います。巨人Appleですら、資源は有限なのです。

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