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在宅ワークが導入できない企業の悲しい理由(言い訳)

投稿日: | 投稿者:生田 明子

在宅ワーク、テレワーク※1、リモートワーク…。今般のコロナウイルス騒ぎではこれらの言葉が入り乱れて飛んでいる。これらの言葉に遣い分けがあるのかは知らないが、いずれにしてもオフィスではない場所で――おもに自宅において――勤務している企業の仕事をすることを指すという点では間違いがないだろう。

しかし、導入状況を聞くと、たとえデスクワークが中心の業種であっても、トラブルなくすみやかに導入できた企業となかなか導入できない企業にわかれる。導入に難航している企業にその理由を聞くと、こんな回答だった。
「自宅で作業するなんて信用ならない」
「どのように社員を管理するのですか」
クラウドサーバーやネットワークなどのインフラを整えていないことより、雇用における信頼関係のなさが在宅ワーク導入に踏み切れない理由だというのである。

オフィスでパソコンの画面を眺めているだけで信用していたのか?はたまた出社から退社までずっと監視していたのか?そもそも従業員は監視の対象なのか?

たしかに、自分が企業に勤めていたときのかつての同僚や上司のことを思い出だすと同意できる面もある。

①朝礼のあと営業に行くと言って、朝から晩まで外出。 車名の入らない営業車であることをいいことにパチンコ店や喫茶店で時間をつぶしていた営業担当者
②倉庫の整理と言いながら、人気のない倉庫で午前中寝ていた二日酔いの営業課長
③給湯室のフキン洗い当番にかこつけて給湯室に籠城して日中は2時間以上も席を外し、夕方定時以降になると張り切り、月あたり80時間超の残業を申請していたお局様

①の営業担当者は毎回ギリギリではあったが営業目標をクリアしていたし、②の課長は毎晩毎晩の取引先との宴会こそが営業目標達成の頼みの綱であった。結局のところ、営業は売上という数値目標が明確でそれさえ達成していれば、どんな働き方かをことこまかに調べられることはないのだ。

③のお局様は、事情が少し違う。本社から出向してきた部長は、女性社員たちが独自につくっていたさまざまな慣習的雑務と称した業務時間中の席外しを正当な業務だと誤解していた。慢性的な残業の必然性や業務内容を、確認もせず認めていた。彼女たちの毎月の残業のうち20時間もが日中のサボタージュによって発生したものだと発覚するのは、給湯室にキッチンペーパーと食器乾燥機が導入され、フキン洗いという雑務がなくなったことによる。

これらを見てもあきらかなように、気力、体力、費用、時間をさいて通勤し、わざわざオフィスに集まったところで、従業員の行動を逐一把握できる管理者などいない。管理者ができることなど、成果物を把握することくらいである。

成果物を把握するだけでよいと割り切るならば、必要なのは成果の定義とそれを達成するための成果物の設定である。
(成果と成果物の違いについては、『「成果」をあげるための「成果物」の考え方』をご覧いただきたい。)

今回の在宅ワーク導入ができない企業の真の理由は、実は成果物と成果の定義が不明瞭であり、成果から逆算して成果物とそれを生み出す業務、その業務にかかる標準的時間の目安が定まっていないことである。そして、それら成果物と業務を管理すればいいという割り切りの足りなさである。作業をする場所の問題ではないはずだ。

それぞれの業務に要する標準的時間の目安は熟練度で変わるので、職級や経験、年齢で幅はでてくる。しかし、ある一定の水準で採用していれば、極端に変わるはずもない。逆に極端に変わらないように採用し、育成研修していくのが人事の仕事である。

それまで電卓をたたきながら入力して何時間もかけていた集計業務を、新しく着任したMicrosoft Excelの達人がマクロを組んで改善したった5分で終わるようにしたら、入力を担当していた人たちやその上司から逆恨みを買ったという。この逸話こそが現代日本の象徴であろう。

日頃から、成果物と成果の定義を明確にし、目的と目標を決め、業務設計、組織設計をしていないことが、在宅ワーク導入の真の障害なのである。おそらく人事評価の根拠も明瞭でないことは想像に難くないし、同じフロアで働いていても業務が集中する人とそうでない人、できる人とできない人の不公平感は解消していないはずである。つまり成果とはなにかを考え、成果物を決めてこなかったつけなのである。

※1【追記】「テレワーク」について

3月16日におこなわれた参議院予算委員会での山田太郎議員の質疑より。
「テレワークという言葉は日本のみで使われ、世界ではリモートワークという言葉が使われている(テレ=Telephoneからきているため)。言葉の統一が必要だ」(2020年3月16日)

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