海外に子会社や支店がある企業の場合は、海外向けウェブサイトの運用をそれぞれに任せているということも多いかもしれません。マーケットに近いところにある子会社が顧客とコミュニケーションをしっかりとることができれば、現地事情に沿った施策で、業績をあげることができ、とても合理的な役割分担となるでしょう。
ところが、海外子会社のウェブサイト運用に対して、本社が一切関知しないと、海外子会社が「好き勝手な独自運用」をおこなってしまうことがあります。結果的に、全社で一貫したブランディング訴求をすることが難しくなったり、本社が知らないところで多重コストの発生というような非効率的運用につながってしまったりすることもあり、注意が必要です。
本社は各ウェブサイトを把握する
海外子会社の運営分も含めて、自社のウェブサイトをグローバルで統一的に構築したり、サイト運用に必要なインフラを本社で用意したりすることで、本社がガバナンスする方法が考えられます。結果的に、多重コストの発生を抑えることができる、セキュリティを担保することができる、統一したブランディング訴求がしやすくなるといったメリットが期待できるからです。
一方、海外子会社が「好き勝手な独自運用」をおこなったことで起きてしまった問題は、結果的に本社にも責任がおよび、企業が社会的信頼を失うことにつながる場合もあります。
少なくとも本社は、各海外子会社がどのようなウェブサイトを運営しているのか、運営状況は適正であるのかを知っておく必要があります。そして問題があると判断した場合には、是正を現地に呼びかけることが求められるでしょう。
現地の意向もくみとる
海外子会社も、業績をあげるための努力をしているため、ウェブサイトの運営についてはさまざまな言い分があるでしょう。扱う商材が現地独自のものであったり、現地の商習慣があったりすることもあります。そのような独自性を考慮しないで、本社からの一方的な方針を伝えるだけでは、それぞれの現地状況に合わせた戦略で展開している子会社のビジネスがやりにくくなってしまいます。
たとえば同一言語を使用している子会社同士では、必要に応じて、直接調整をしたほうが良い場合もあります。言語や風土がまったく違い、時差もある本社が間に入るより、似た環境下にある子会社同士であれば、それぞれのマーケットを理解し、よりよい結果を生み出す可能性もあるからです。
本社として、海外子会社のウェブサイト運用をモニターし、ガバナンスすることは必要です。しかし、あくまでもビジネスを効果的、効率的に推進するための建設的な下支えの存在にならなくてはなりません。現地の特性を考慮しつつ、現地のウェブサイト運用の負荷を軽減できるような施策を打つことで、海外子会社との間で良好な信頼関係を築きましょう。