デジタルトランスフォーメーション(DX)とは何か?

投稿日: | 投稿者:ayatori

GAFAの台頭を契機とし、『デジタルの未来』をはじめ、デジタル化がもたらす新しい社会やビジネスについて書かれた書籍やネット記事が次々に出てきています。その中で特に危惧されているのが、20世紀に成功した企業の動向です。 テクノロジーをベースとし驚くべきスピードで進んでいるビジネスモデルの再構築は「デジタルトランスフォーメーション」「デジタル革命」と呼ばれています。今回は、企業にとってどの点において対応が急がれているのか、公的な資料をもとに見ていこうと思います。

1.デジタルトランスフォーメーション
(DX:Digital Transformation)とは?

既存のビジネスや業務に新技術を取り入れるだけでなく、ビジネスモデルを変え、経済活動のみならず、個人の生活や社会構造にまで影響が及ぶ。その変化は、“デジタルトランスフォーメーション”や“デジタル革命”と呼ばれている。

IT人材白書2017独立行政法人情報処理推進機構、2017年、p.26

2009年から毎年刊行されている『IT人材白書』に、はじめて「デジタルトランスフォーメーション」という言葉が登場するのは、『IT人材白書2016』(2016年4月)のサブタイトル「多様な文化へ踏み出す覚悟~デジタルトランスフォーメーションへの対応を急げ~」でした。

経営者層に向け、「IT人材が活躍できるかどうかは、経営者のビジョンやマインドに大きく依存する。ビジネスのプロセスを変革し、新しいビジネスモデルを構築する覚悟が今、経営者に強く求められている」という意図が込められていました。2015年を調査対象としているこの白書は、サブタイトルには強いメッセージが込められてはいるものの、目次や内容にDXについて触れている箇所はありません。

翌年、『IT人材白書2017』(2017年4月)になると様相が変わります。サブタイトルは「デジタル大変革時代、本番へ~ITエンジニアが主体的に挑戦できる場を作れ~」となり、企業はデジタル化から逃れることのできない「第4次産業革命の入り口」にいると強調しています。そして、「第2部 IT人材の現状と動向」に「第1章 デジタルトランスフォーメーション時代のIT人材」と章を設けて、DXとは何かについて具体的に記述しています。

ということは、公的機関では、IT業界の動向を鑑み、2015年ごろから「デジタルトランスフォーメーション」というなんだかよくわからないものが出てきて、2016年には大きな課題として正面から取り組まなければと動き始めたことがわかります。

2.DXに向けた経済産業省の取り組み

「GAFA」がIT市場を超え、ビジネス全般で一般的な言葉になりつつあったのも、2017年くらいでしょうか。そのような流れの中、DXを本格的に展開していくうえで、経済産業省はITシステムに関する現状の課題や対応策ついて検討するため「デジタルトランスフォーメーションに向けた研究会」を2018年5月に立ち上げ、その報告書をまとめました。

報告書では、今すぐにDXへの対策をとらなければ、既存システムが「複雑化・ブラックボックス化した既存システム(=レガシーシステム)」となり、2025年には「2025年の崖」として最大12兆円/円の経済損失を生じさせる可能性があると指摘しています。

DXを展開していくうえでの課題

  • ビジネスをどう変えるかといった経営戦略の方向性が定まっていない
  • 新しいデジタル技術を導入したとしても、データの利活用・連携が限定的であるため(既存システムの老朽化、複雑化、ブラックボックス化)その効果も限定的
  • 既存システムの維持、保守に資金や人材を割かれ、新たなデジタル技術を活用するIT投資にリソースを振り向けることができない

(出所)経済産業省「デジタルトランスフォーメーションに向けた研究会の報告書」DXレポート~ITシステム「2025年の崖」の克服とDXの本格的な展開~、2018年9月7日、p.3を整理要約。

(出所)経済産業省「デジタルトランスフォーメーションに向けた研究会の報告書」DXレポート~ITシステム「2025年の崖」の克服とDXの本格的な展開~、2018年9月7日、p.7 http://www.meti.go.jp/press/2018/09/20180907010/20180907010-2.pdf

実際、報告書にもありますが、約8割の企業が「レガシーシステム」を抱え、約7割が「レガシーシステム」は自社のデジタル化の足かせになっていると自覚し、回答しています。
確かに、IT現場の方たちのお話からも、これまで長い時間や多くのお金を費やして活用してきた既存システムが、老朽化、複雑化、ブラックボックス化していて、諸々の足かせになっていることはわかってはいるものの、「よし!すぐに変えよう!」とはなかなかいかないようです。

変わることを拒む者たちは消し去られるのだ。デジタル化は創造的破壊を引き起こす。

デジタルの未来日本経済新聞出版社、2018年、p.24

『デジタルの未来』では、既存企業の危機感をあおるフレーズがたくさん出てきます。読み進めると、デジタル化によって、企業がその実現の過程で提供しうる「新しい顧客体験」や「新たな価値提案」を通じて「効率的な組織」に変化し、競争優位性を確保することに期待していると理解できます。

デジタル化は、規模とスピードの違いはあるものの、あらゆる業界に及びます。あなたの企業はDXについてどのように備えていますか。劇的に変化する市場環境に対応する時間はそう残されてはいないようです。

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