たとえば、ウェブサイトのデザインを決めるとき。
たとえば、コンテンツの企画を検討するとき。
「声が大きい人」の意見に引きずられてしまう、なんてこと、ありませんか?
ここでいう「声の大きい人」というのは、影響力の大きい人を言います。企業であれば、たとえば社長さんとか、役員さんとか、上級管理職の方とか、スポンサーさんとか、が相当すると思います。
誰のためのデザイン?
ウェブサイトのデザインやコンテンツのありかたについて、「声の大きい人」に引きずられてしまう場合は大抵、「ウェブサイトを使うのは誰なのか」という合意形成がきちんとなされていないことが多いです。
「自社のウェブサイトは、実際に誰が使うのか?」「その人はサイトで何を実現しようとしているのか」を見つめ直してみましょう。そのうえで、「実際に使う人」の目的達成に寄与できるように (ひいては売り上げやブランディングの向上につながるように)、デザインし内容を充実させることが大事です。
多くの企業サイトにとって、実際にウェブサイトを使う人は、「顧客」「就職希望者」「株主」「取引先」といったあたりが多いと思います。その中でも、特に「顧客」がメインのユーザーであるケースが多いのではないでしょうか。
ここであらためて問いましょう。「声の大きい人」は、果たして「実際にサイトを使う人」ですか?
洋の東西を問わず起きている問題
英語で、「Hippo」という表現があります。「Highest paid person's opinion」の略ですが、高収入を得ている立場の人の意見、つまり組織内の偉い人 (声の大きい、影響力のある人) の意見がいかに大きな力を持っているか、を如実に表現している言葉です。
洋の東西を問わず、さまざまなビジネス上の決断において「声が大きい人」の意見に引きずられてしまう罠が潜んでいることを示しているわけですが、少し視点を変えて考えると、この問題は文化 (企業規模や企業風土) の違いに関わらず、どんな組織にも起こり得ることであるという自覚が必要なのかもしれませんね (うちは大丈夫!という過信は、要注意です)。
明確な判断基準を持とう
「声の大きい人」に引きずられないようにするためには、あらかじめ明確な判断基準や原則を持ち、関係者間でコンセンサスを取っておくことが大事です。
そして、その判断基準や原則は、「実際にサイトを使う人 (顧客など) にとって利にかなっているか?」がベースになっていなければなりません。
ここで気をつけなければならないのは、「なんとなく、お客さまはこう思っているだろう」というレベルでは不十分ということです。顧客に対する理解がその程度であるということは、「推測の域を出ていない」ことに他ならないので、議論がこじれたときに、結局は声の大きい人になびく結果になります。
もっと、客観的な基準が必要です。
先の記事 (「ユーザビリティ」ってなに?) でも述べましたが、ターゲットとなるユーザー像 (顧客像) を明確にし、そのターゲットユーザーの行動を正しく想定しましょう。そしてそれを、関係メンバー (「声の大きい人」も含めて) で共有し、合意形成しましょう。議論がこじれたり、決断が迫られたときは、「声の大きい人」の意見ではなく、「ターゲットユーザー象の xxxxx さんなら、どう考えて、どう行動するだろうか?」と考えるクセをつけることが大事です。
顧客像を具体化するための手法
あやとりでは、ターゲットとなるユーザー像 (顧客像) を、客観的視点で明確にするための手法として「顧客定義(ユーザーシナリオ作成)」を導入しています。