余計な情報を取ってユーザーを戸惑わせていませんか?

投稿日: | 投稿者:ayatori

個人的な経験ですが、こんなことがありました。

地元に新しくできた美容院が気になって、その美容院のウェブサイトにアクセスして、色々と見ていたところ、Web 上で予約できるというリンクがありました。

「営業時間内に電話しなくても、予約できるんだ。これは便利だな。」と思ってリンクをたどると、外部サイト (美容院の予約システムを一手に引き受けている、某クーポン系サービスが運営するサイト) に切り替わり、その中で、まずは会員登録を求められました。

余計な情報が入力必須になっている

美容院を Web で予約する以上、自分の名前や連絡先 (メールアドレスや電話番号) 程度の最小限の個人情報は登録する必要はあるだろうな、と思っていたので、特に怪訝に思うことなく、会員登録のページを開きました。

私がこのとき達成したかったゴールは、美容院の空き状況を見て、予約を取ること、ただそれだけです。にも関わらず、会員登録時に、色々と余計な情報 (そのときの私にとって、ゴールを達成するうえで必要最小限とは思えない情報) を入力しなければならず、戸惑いを感じました。

たとえば、「生年月日」が入力必須になっていました。
入力欄のすぐ下に、「パスワードを忘れたときの、質問の答えになる」旨の注釈が書かれていましたが、「別に生年月日をあらかじめ登録していなくても、パスワードのリセットと再発行は、ほかにやりようがあるだろうに」...と思いました。この予約サイトの運営母体がクーポン系サービスということもあり「ここで生年月日を登録したら、きっと誕生日近くになると、ダイレクトメールがたくさん送りつけられるんだろうな。」という気がかりも、正直ありました。

そしてもうひとつ、「ニックネーム」が入力必須になっていました。
これは特に注釈がなかったため、「なぜ、ニックネームが必須なんだろう」としばらく悶々としてしまいましたが、後で調べたところ、以下のケースでニックネームが使われることがわかりました。

  • 予約サイトから送られてくるメール (予約完了通知やメールマガジンなど) の冒頭、「こんにちは、xx さん」という記述。
  • 予約サイトの会員専用ページ (ログインページ) の冒頭、「ようこそ xx さん」と書いてある記述。
  • 予約サイト上に、美容院のクチコミを投稿できる仕組みが用意されているのですが、その投稿者名の記述。

ユーザーの達成したいゴールと登録必須項目のバランスは適切か?

(繰り返しになりますが...) 私が達成したかったゴールは、美容院の空き状況を見て、予約を取ること、ただそれだけです。

従来、電話で予約するところ、その代替手段として Web が使えて便利だ...というだけで、クチコミを投稿しようという意図はまったくないのです (クチコミそのものを批判しているのでは決してなく、クチコミを投稿しないユーザーもいる、という意味だとご理解ください)。

このようなユーザーにとっては、送られてくるメールや会員専用ページの「xx さん」の記述が本名であっても大して問題ではなく、ニックネームを考え出すのにわざわざ時間をかけたくない...と感じる人も、少なくないと思います。

恐らく、サイト運営側の意図として「クチコミを活発に利用してほしい」「その際の事故防止として、ニックネームの登録を必須にしたい」という意図があるのだろうと推測します。場を盛り上げるための施策、という意味で、わからないではないですが...。

私だったら「すべてのユーザーがクチコミに参加するとは限らない」という前提に立って、ニックネームは会員登録時には任意入力項目にし (あるいは、会員登録時には入力させずに)、実際にクチコミするときに、あらためてニックネームを確認してもらう (あるいは入力してもらう)、というフローを設計すると思います。

みなさんが運営するウェブサイトでも、入力フォームを設けているケースが多いと思いますが、余計な情報をユーザー(顧客)から取っていないでしょうか?そしてそれは、ユーザーが達成したいゴール (必ずしも、サイト運営側が望むゴールとはイコールでないかもしれません) との間で適切にバランスが取れているでしょうか?今一度、振り返ってみるとよいかもしれません。

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