ウェブ担当の部署に配属されて3ヶ月が経ち、上司からサイトコンテンツの更新作業を任されております。文章を書く際に抑えておくべきポイントを教えてください。
中黒点(・)の使用はNG
ウェブサイトのコンテンツを更新する際、文章を書く (入力する) ことが多いと思います。ウェブにおける文章表現については、おさえておきたいポイントが色々あって、機会があればおいおいご紹介したいと思いますが、今回は敢えて、枝葉末節な話をしてみたいと思います。
みなさんは普段、中黒点を、使っていますか?
中黒点とは、「・」という記号です。単語の区切りに入れたりすることが多いかもしれませんね。
私自身は、中黒の使用は基本的にNGと考えています。「日本語として間違っている」(つまり文法的に、あるいは語法的に、絶対的に誤りを犯している) わけではありませんが、色々なトラブル (読み手の誤解) を引き起こす可能性があるので、習慣として「中黒点は使わない」と自分に課しているのです。その理由は、以下の通りです。
読みにくい
中黒点があると、読みにくくなることがあります。視覚的にノイズ (雑音) として邪魔に見えてしまったり、読んでいてリズムが取りにくかったり (中黒点のたびに息継ぎが求められているような気がする)... という要素がありそうです。たとえば :
- 「ユーザー・インターフェース」は「ユーザーインターフェース」
- 「ケース・バイ・ケース」は「ケースバイケース」
- 「トマト・ケチャップ」は「トマトケチャップ」
...と書くほうが、読みやすくなりますね。
意味の解釈がぶれる
複数の単語を中黒点で区切ると、意味の解釈にぶれが生じる (読み手の誤解につながる) 可能性があります。主に、「これって "and" なの? "or" なの? それとも一塊の言葉なの?」といった混乱を招くことが多そうです。たとえば、下記のような例が考えられます。
- 「タオル・ハンカチ」
...「タオルとハンカチ」なのか「タオルまたはハンカチ」なのか。はたまた「タオルハンカチ」というモノを意味しているのか。 - 「ワイン・ビネガー」
...「ワインとビネガー」なのか「ワインまたはビネガー」なのか。はたまた「ワインビネガー」というモノを意味しているのか。
他の記号との混同
リスト (箇条書き) のスタイルを伴う場合、リスト項目中に中黒があると、読み手が混乱するおそれがあります。たとえば、下記のような箇条書きがあった場合、どう解釈されるでしょうか?各行の冒頭の中黒、つまり箇条書きのビュレット (bullet) と、行中の中黒が、混乱してきませんか?
・デスクトップ・パソコン
・ノート・パソコン
・タブレット・デバイス
ウェブ ページを HTML 形式で記述する場合、<li> 要素で箇条書きのビュレットを表現すれば、中黒点と混同することは無いかもしれませんが、メルマガなど、HTML 形式ではないプレーンテキストで書くこともあると思いますので、やはり注意が必要だと思います。
そのほか、人によっては読点「、」を中黒で表記したり (たとえば「食品・雑貨を買う」)、リーダー記号 (...) を中黒で表記したり (・・・)、といったケースも多く、あわせて注意が必要です。
では、どうしたら?
上記のような理由から、私自身は、中黒点の扱いについては、以下のルールを自分に課しています。
- 中黒は原則として使わない。
- 複数単語から成る語も、一語で (続けて) 書く (「デスクトップパソコン」「タブレットデバイス」など)。
- 一語で続けて書くと視認性が悪くなる場合は、必要最小限の半角スペースを入れる (「ロンドンオリンピック メインスタジアム」など)。
- 例外的に、海外の人名などは、中黒を入れることをよしとする (「バラク・オバマ」「ダ・ヴィンチ」など)。
いかがでしょうか。
とても枝葉末節な話ではありますが、文章表現というのは、知らず知らずに「自分のクセ」というものが出てしまいがちです。その意味で、普段からの「習慣化」が大事だと思っています。一貫性のある文章表現ができているウェブサイトは、信用されやすくなります。ぜひこの機会に、ご自身の「書きかたのクセ」を振り返ってみてはいかがでしょうか。
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