Web 担当者のみなさんにとって、「アクセス数」や「コンバージョン」のアップというのは関心の高い話題ではないかと思います。
アクセス数とは、文字通り「ウェブサイトにどのくらいアクセスがあったか」を示す数値で、ウェブ解析の「ページビュー」や「セッション」などが相当します。これに対し、コンバージョンとは、アクセス数のうち実際に (ビジネス上の) 成果につながったもので、たとえば、問い合わせや資料請求の件数、EC サイトであれば決済完了 (つまり売り上げ) の件数、などが挙げられます。
Web 担当者としては、アクセス数、コンバージョン、どちらも上げたいところではありますが、それぞれ、戦術が異なります。
アクセス数アップの戦術
アクセス数アップの戦術とは、すなわちサイトへの集客の戦術、と考えるとわかりやすいと思います。自社サイトが検索エンジンで上位に掲載されるようコンテンツを最適化する SEO (Search Engine Optimization) や、検索エンジンから自社サイトへの訪問者を増やすための広告出稿 (Google AdWords など)、といった施策が考えられます。また最近では、ソーシャルメディアを活用するのも有効です。顧客の共感を得られるような良質なコンテンツ発信することでシェア/拡散をしてもらい、そこから自社サイトに誘導をする、といった施策が考えられます。
アクセス数アップの戦術としてもうひとつ大切なのは、アクセスしてもらった訪問者あたりのページビュー数 (閲覧ページ数) を適切にすることです。最初の着地ページ (ランディングページ) からそのままサイト外に離脱されてしまわないように、関連コンテンツにスムーズにナビゲートするよう情報設計をしたり、顧客のコンテキストにマッチしたリンクをメインコンテンツ内に適宜用意したり、といった施策が考えられます。
コンバージョンアップの戦術
アクセスしてもらった顧客をコンバージョンに導くためには、まず、何をもってコンバージョンとみなすかを定義する必要があります。顧客のゴール、自社のビジネスゴール、そしてそれらのゴール達成のためにウェブサイトがどこまで寄与できるか、を整理し、ウェブサイトの中で顧客に達成してもらいたいことをコンバージョンとして定義します。
何をもってコンバージョンとするかを定義できたら、そこに向けての導線を最適化します。ユーザビリティに配慮して、コンバージョンとなる行為にわかりやすく (スムーズに) 顧客を誘導することが大切です。と同時に、顧客の行動を喚起するエモーショナルな工夫 (たとえば顧客の心に響くキャッチコピーや印象的なビジュアル表現など) もあわせて検討するとよいでしょう。
数値目標はどのくらい?
アクセス数やコンバージョンを「アップさせる」ということはすなわち、数値目標が伴います。では実際のところ、どのくらいの数値目標にするのがよいのでしょうか?
業界の市場規模、自社のポジション (シェアや知名度など)、これまでの Web 活用の積極度、といった要素によって、「十社十色」というのが実際のところだと思いますが、最近では SimilarWeb のように競合他社サイトも含めてアクセス数などの規模感をつかめるサービスもありますので、こういった指標を参考にしつつ数値目標を立てる、というのも一考でしょう。
また、数値目標の検討にあたっては、絶対的な数値の大小だけでなく、むしろ相対的な変化に注意を払うようにしましょう。サイトで扱う商品やサービスごとに、独特の季節変動や曜日変動、時刻変動などがあると思いますが、そういった基本要因はしっかりと押さえておきます。また、思わぬ変化が見られた場合はその原因を特定したり仮説立てしたりすることを習慣づけるとよいでしょう。そうしたことの積み重ねで数値に対するセンスが養われ、情報発信効果の精度を高めることができます。一日一夕でできることではありませんが、地道な継続こそが大切です。