マーケティングに関する本はとてもたくさんあります。手に取ってみたのですが、なかなか読み進めることができません。いったいどれから読めば、マーケティングを理解しやすいのでしょうか?
当コラムのメインテーマであるウェブマーケティング。とくに「マーケティング」をポイントとした話題を紹介しています。市場調査や広告宣伝だけではない、「企業活動そのものとしてのマーケティング」、ご理解いただけているでしょうか。今回はこのような疑問にお答えする【番外編】をお届けします。
1.王道を極める!マーケティングといえばコトラー
マーケティングといえば、コトラー教授(Philip Kotler)です。「近代マーケティングの父」「マーケティングの神様」とも呼ばれ、時代とともに変化していくマーケティングについて、数々の著書を出版しています。
『マーケティング・マネジメント』や『マーケティング原理』など、初版は約50年近く前に出版されているにもかかわらず、今日まで版を重ねて活用されている著書は特に有名です。これらの本がコトラー著書のものとしてはお勧めなのですが、とにかく分厚く、最新版は日本語翻訳が追い付いていないという状況にあります。英語が得意な方は、ぜひ最新版をチェックしてみてください。
マーケティング用語辞書としても活用でき、とても便利なものもあります。 『コトラーのマーケティング・コンセプト』は、ビジネスパーソン向けに、コトラーのエッセンスを含んだコンセプトについて解説している本です。
また、2018年5月で87歳になったコトラーですが、約20年前の研究者として脂がのった時期に書かれた『コトラーの戦略的マーケティング―いかに市場を創造し、攻略し、支配するか』は、今日でも十分に通用する「マーケティングとは何か」を問う著書として知られています。
コトラーは、数年前から日本での講演活動を熱心におこなっています。日本企業についての著書『コトラー マーケティングの未来と日本 時代に先回りする戦略をどう創るか』や、ネスレの高岡浩三社長との共著『マーケティングのすゝめ 』も出版しました。
関連記事として、ネスレ日本が実践するマーケティング発想のマネジメントもあります。
2.入門から押さえる
「いきなりコトラーは難しくて無理…」「事例がアメリカの企業ばかりで、イメージがわかない」という方には、大学生の教科書としてもよく使われる『有斐閣アルマ』シリーズをご紹介します。このシリーズは、学術的な内容がその道のプロによってわかりやすく書かれており、入門書として最適です。
マーケティングに関してのお勧めは2冊。まずは、沼上幹『わかりやすいマーケティング戦略』…(1)です。そのタイトル通り、本当にわかりやすく日本企業の事例を挙げて書かれています。 もう1冊は、和田充夫『マーケティング戦略』…(2)。専門度はあがりますが、そのぶん実践的な内容となっています。 また、包括的なマーケティングのテキストとしておさえておきたい本は、小川 孔輔『マーケティング入門』…(3)です。日本の研究者が、日本企業のために書かれたもので、国内事例をふんだんに取り入れています。この1冊だけで、学術的かつ実践的な内容を網羅することができます。
3.もっと気軽にマーケティングを理解したい
「専門書やテキスト本は、値段もハードルも高い」という方は、気軽に読める本はいかがでしょうか。
まずは、人気ブロガーちきりん『マーケット感覚を身につけよう』。タイトル通り「マーケット感覚」を身につけるため、身近な事例を挙げながら、これから社会の動きがどうなるか、どんなものが顧客の心をつかむのかなど、実践的マーケティング力を上げるための本です。マーケティングとは何か、について記す本はたくさんありますが、そのマーケティングを実践する土台となる「マーケット感覚」について記す本は貴重です。
最後に、窮地にあったユニバーサル・スタジオ・ジャパンをV字回復させた森岡毅さんの『USJを劇的に変えた、たった1つの考え方 成功を引き寄せるマーケティング入門』をご紹介します。見事にUSJを復活させたストーリー本のような印象を受けますが、あなどるなかれ、これはマーケティングの本です。日本のほとんどの企業はマーケティングができていないと問題提起し、マーケティング・フレームワークをどうやって現場に落とし込んでいったのかが記されています。また、ちきりんさんの著書にも通じますが、「マーケティング感覚とは何か」を問う内容となっています。
(1)コトラーの著書、(2)入門書、(3)実践書、とご紹介してきました。まずは気になった本から手に取ってみてください。「マーケティング」を十分に理解し、ご自身のモノにできれば、ウェブサイト運営はもちろんのこと、あなた自身の生活そのものに大きな変化をもたらす「財産」になりますよ。