当社にはいくつか海外支社があり、支社ごとにウェブサイトを立ち上げています。それぞれが独自に運営しているために、サイトデザインやコンテンツの質などがバラバラになってしまっています。日本本社としては、どうしたらよいでしょうか?
海外支社もサイト運用ガイドライン(ガバナンス)の適用範囲にする
本社と海外支社の関係は企業によってさまざまなので、具体的にどこまでというのは難しいですが、同じブランドを共有しているのであれば、海外支社のサイトもガイドラインの適用対象とするべきです。
独自の勝手なサイト運用によって、不適切なドメイン名を取得したり、品位のないデザインを採用したり、誤った情報を発信したり、セキュリティや個人情報の取り扱いで問題が生じたりすると、当該の海外支社のみならず、他の海外支社や日本本社のブランド価値にネガティブな影響を与えてしまうからです。
もちろん海外支社は最大限、現地の事情の中で、ビジネスを成功させようとがんばっていることでしょう。大事なのは、そのがんばりのベクトルをあわせることです。最低限守らなければならないことはしっかりと抑え、ブランド価値を保ちつつ、市場の独自性(文化や商習慣など)を尊重する、という戦略が必要です。
最低限守らなければならないこと
現地が安心してサイトを活用できるように、本社としては、最低限守らなければならない枠組みを明示しましょう。たとえば、以下のような項目があげられます。
- ウェブサイト体系(サイト群の全体像と、各支社サイトの位置づけ)
- ドメインネーム体系
- デザイン原則
- リスク管理(脆弱性対策、個人情報の取り扱い、第三者の商標権や著作権などの扱い)
- 品質基準(アクセシビリティ、パフォーマンス、顧客とのコミュニケーションの暗号化など)
- サイト運用状況の報告
また、CMS やアクセス解析ツールなどを共通基盤として整備しているのであれば、あわせてガイドラインで言及し、共用を促進しましょう。
ブランド価値を保つ
ブランドとして訴求したい価値が国内外を問わず共通のものである場合、本社としては、具体的なブランド表現のルールも明示しましょう。たとえば、以下のような項目があげられます。
- ロゴの表現
- カラースキーム
- 商標の表記法
- 表現上のトーン&マナー
また、こまかいところでは、ソーシャルメディアアカウントの文字列やプロフィール画像のありかたなども、抑えておきたいところです。
市場の独自性を尊重する
これらをふまえたうえで、各市場の独自性を尊重し、ビジネスゴール達成のために各支社が積極的にマーケティング施策をしかけられるよう、サポートしていきましょう。
ウェブはいまだに進化を続けていることもあり、ある時点で策定したガイドラインが、効果的なウェブ活用の足かせになってしまう可能性が十分にあります。その場合は、どの部分がなぜ現状とそぐわないのか、現地の要望や懸念は何か、立ち返るべき原則は何か、どう解決すれば現地はのびのびと動けるのか、などを建設的に検討しましょう。もちろん、現地側の意向だけではなく、全体でバランスをとる必要はあります。そのためにも、オープンなコミュニケーションを常日頃から心がけたいものです。