人材採用コンテンツは自社でも持つべきか?

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「リクナビ」「マイナビ」だけで十分?

人材不足で採用を強化したいのですが、「リクナビ」や「マイナビ」のようなサイトに自社情報を載せればいいのでは?という意見があります。就職志望者への情報提供という点でメリットはありそうですが、それだけでよいのでしょうか?

自社サイトからの一次情報は必要

就職志望者の多くが「リクナビ」や「マイナビ」などの求人情報サイトを利用するご時世です。このようなサービスは、就職志望者とのコミュニケーションをスタートさせることにおいては魅力的です。しかし、そこにある情報だけで自社の魅力を就職志望者に伝えきることができるでしょうか?

就職志望者は就職先を選定する際、その企業に自分の人生を託せるか切実に考えます。その企業に関心が高い人、あるいはその企業で働くことを本気で考えている人ほど、その企業のことを深く理解するために、一次情報として企業の自社サイト(オウンドメディア)をしっかりと見てみたい、と思うのではないでしょうか。

求人情報サイトに情報を載せるだけでなく、オウンドメディアとして、就職志望者向けのコンテンツを発信することはとても意義のあることですし、誠意あるコミュニケーション姿勢として必要なことといえます。

最近はスマートフォンの普及により、パートやアルバイトの採用でも、応募者がサイトを閲覧してから応募するようになってきています。採用ページというと、ややもすると正社員採用ばかりに注力しがちですが、企業にとってはパート、アルバイトも正社員同様に重要な役割を果たす人材です。その方々に向けた採用コンテンツも、正社員の採用ページ同様に検討する必要があります。

どんな情報を発信するか?

自社の採用に関する基本情報は、自社サイトにもきっちり掲載しておきたいところです。具体的には、募集要項、勤務条件や待遇に関するデータ、採用までの流れ(スケジュール)などです。加えて、求める人材像があれば明示しておくべきでしょうし、インターンシップを受け入れている場合は、その申し込み方法なども明示しておくとよいでしょう。

また、基本情報だけでなく、自社のアピールも積極的に発信していきましょう。大別すると「エモーションを喚起するコンテンツ」と「安心感を与えるコンテンツ」のふたつが挙げられると思います。自社の戦略や企業文化なども考えつつ、両者のバランスをうまく取ってコンテンツ展開するとよいでしょう。

エモーションを喚起するコンテンツ

社業がどれだけ人や社会に喜ばれているか、従業員がどれだけ社業にプライドを持っているかなどをアピールすることで、志望者のエモーションを喚起します。

  • モノやサービスの品質をとことん追求する姿勢
  • モノやサービスのデザインに対するこだわり
  • さまざまな職種の存在と、それぞれのやりがいや誇り

…などを写真や動画も織り交ぜつつ、積極的に発信してみましょう。「先輩社員の一日」のような形で親しみやすいコンテンツにしてもよいでしょうし、「経営者の声」として伝えることで会社としての本気度を示してもよいでしょう。

ビジョン(企業理念、社是、社訓)の共有も、エモーション喚起の重要な一要素になります。たとえば、就職してすぐに辞めてしまう若者が話題になることがありますが、それは下積み的に任された仕事に意義を見出せないからかもしれません。会社のビジョンが共感ととに志望者にも共有されれば、無駄な離職を軽減できる可能性があります。

安心感を与えるコンテンツ

「ブラック企業」という言葉は、数年前に比べると耳にする機会が増えたように感じますが、安心して働き続けることができるかということも、志望者にとって重大な関心事です。

  • 社員を大事にしている企業文化
  • ワークライフバランス施策
  • 女性社員の活躍ぶり
  • 若手社員の活躍ぶり
  • 将来を見据えたキャリアパスの考えかた

…などをできるだけ具体的に、かつ親しみやすい形で発信してみるとよいでしょう。

「採用情報」だけにとらわれないサイトづくりを

このようなコンテンツを展開する際、コーポレートサイト内に「採用情報ページ」を設けることに注力しがちです。最近では、主に若い世代を対象に、インパクト重視の演出に力を入れたサイトを設けるケースも見受けられます。

しかしその運用を人事や採用部門だけに限ると、コンテンツの拡充をその中でおこないがちになり、いかにも「縦割り」なコンテンツになってしまいます。たとえば、トップメッセージが「会社情報ページ」に存在しているにもかかわらず、「採用情報ページ」にも重複するコンテンツを作ってしまった結果、メッセージの統一感がなくなってしまう、というようなことです。

就職志望者が興味を持つコンテンツは、企業理念、事業戦略、商品やサービスの情報、財務状況、CSR…など多岐にわたりますが、いずれも「就職志望者専用」のコンテンツではありません。「採用情報」という入口は必要ですが、そこから自社サイトのコンテンツをくまなく訪問してもらえるような戦略が有効といえます。人材採用に関連するコンテンツは人事や採用部門だけが運用するのではなく、企業全体で取り組むコーポレートコミュニケーションとして考えたいものです。

コーポレートコミュニケーションは、採用活動をブランディングの一環とするとことにもつながります。就職志望者の中には、ご縁がなく不採用となる方々も少なくありませんが、そうした方々にも気分よく自社の優良顧客でありつづけて欲しいものです。自社側のニーズである「最適な人材を採用すること」を満たすだけでなく、志望者に良好なファンとなってもらうことも視野に入れて、人材採用コンテンツのありかたをていねいに設計したいものです。

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