企業の存続、発展にとって、よい人材を採用することは、非常に大切です。
ここ数年、完全失業率が減少傾向にある中 (参考:「統計局ウェブサイト/労働力調査(基本集計)平成26年(2014年)4月分結果」)、他社との競争で優秀な人材を獲得することが相対的に難しくなりつつあることがうかがえますし、このような統計を見るまでもなく、常日頃、実際に苦労されている採用担当者の方々も多いことでしょう。
今回の「ウェブ活用お役立ち情報」では、リクルーティング (人材採用) のためにウェブサイトをどう活用できるか、どんなコンテンツを提供することで志望者 (や志望しようか迷っている方々) にアピールできるか、について考えてみたいと思います。
採用に関する基本情報を載せる
就職/転職志望者の多くが、「リクナビ」などの求人情報サイトを利用するご時世ですが、こうした求人情報サイトにのみ情報が提供できていれば十分かと言うと、そうではありません。求人情報サイトを利用する人であっても、一次情報としてその企業の自社サイト (オウンドメディア) をチェックする人は多いからです。
自社の採用に関する基本情報は、自社サイトにもきっちり掲載しておきたいところです。具体的には、募集要項、勤務/待遇に関するデータ、採用までの流れ (スケジュール)、などです。加えて、求める人材像があれば明示しておくべきでしょうし、インターンシップを受け入れている場合は、その申し込み方法なども明示しておくとよいでしょう。
自社のアピールを積極的に発信する
採用に関する情報を載せるのであれば、せっかくなので基本情報だけでなく、自社のアピールも積極的に発信してゆきましょう。この自社アピールこそが、自社サイト (オウンドメディア) でリクルーティングコンテンツを発信するもっとも大きな意義といえます。
自社アピールのためのコンテンツには、大別すると「エモーションを喚起するコンテンツ」と「安心感を与えるコンテンツ」のふたつがあります。自社の戦略や企業文化なども勘案しつつ、両者のバランスをうまく取ってコンテンツ展開するとよいでしょう。
エモーションを喚起するコンテンツ
社業がどれだけ人や社会に喜ばれているか、従業員がどれだけ社業にプライドを持っているか、をアピールすることで、志望者のエモーションを喚起します。
- 品質 (モノの品質やサービス品質) をとことん追求する姿勢
- デザイン (モノのデザインやサービスデザイン) に対するこだわり
- さまざまな職種の存在と、それぞれのやりがいや誇り
...などを、写真や動画も織り交ぜつつ、積極的に発信してみてはいかがでしょうか。「先輩社員の一日」のような形で親しみやすいコンテンツにしてもよいでしょうし、「経営者の声」として伝えることで「会社としての本気度」を示してもよいでしょう。
ビジョン (企業理念、社是、社訓) の共有も、エモーション喚起の重要な一要素になります。たとえば、就職してすぐに辞めてしまう若者が話題になることがありますが、それはアサインされた (多くの場合下積み的な) 仕事に意義を見出せないからかもしれません。会社のビジョンが、志望者にも (共感を伴って) 共有されれば、無駄な離職を軽減できる可能性があります。
安心感を与えるコンテンツ
「ブラック企業」という言葉がバズワードとして流行っている感がありますが、安心して働き続けることができるか、も志望者にとって重大な関心事です。
- 社員を大事にしている企業文化
- ワークライフバランス施策
- 女性社員の活躍ぶり
- 若手社員の活躍ぶり
- 将来を見据えたキャリアパスの考えかた
...などを、できるだけ具体的に、かつ親しみやすい形で発信してみるとよいでしょう。
自社を知ってもらう
自社アピール以前に、就職/転職志望者に「自社を知ってもらう」ことに課題意識をもつ採用担当者の方々も多いことと思います。有名企業でない限り、大なり小なり、悩みの種といえるでしょう。これについては、「SEO (検索エンジン対策)」「ソーシャルメディア活用」もあわせて検討してみてはいかがでしょうか。
SEO (検索エンジン対策)
自社の名前を知らない方々に、自社の存在を見つけてもらいたい場合、どういう検索キーワードで自社サイトを探し当ててもらいたいか、「ユーザーシナリオ」とともに検討してみましょう。たとえば、「地域名」×「職種名」の掛け合わせで検索する就職/転職志望者が多そうであれば、そういったキーワードに真摯に応えられるようコンテンツ (ページ) を充実させることです。
ソーシャルメディア活用
たとえば、Facebook ページを持っている会社であれば、自社のファンになってもらえそうな話題を継続的に投稿し続けていることでしょう。こうしたファン拡大の種まきを地道にやることで、自社の知名度向上が期待できますが、折を見てそこにリクルーティング関連情報を投稿することで、Facebook ページに「いいね!」してくれた方々に、自社の人材採用情報を周知させることができます。
リクルーティングコンテンツはブランディングのひとつとして考える
以上、ノウハウ的なことをあげてみましたが、もうひとつ大切なこととして、リクルーティングコンテンツは、ブランディングのひとつとして考えるようにしましょう。
就職/転職志望者の中には、ご縁がなく不採用となる方々も少なくありません。そうした方々にも、気分よく、自社の優良顧客であって欲しいものです。そう考えると、自社側のニーズ (いい人材を採用すること) を満たすことだけでなく、志望者との良好な関係を築くこと、ひいては、一連の就職活動を通じて志望者に自社ファンになってもらうことも、リクルーティングコンテンツの展開においてはぜひ意識したいところです。