自社サイトの運営を担当していますが、本当に顧客に役立つサイトになっているのか、いまひとつ自信がありません。「顧客の視点」を忘れずに業務をおこなうには、どうしたらよいでしょうか?
ウェブサイトの運用は、思いつきで施策を打つのではなく、きちんと仮説検証(仮説を立て、その仮説にもとづいた施策を実施し、妥当性を確認する)のプロセスをまわすのが効率的です。社内にリソースがあれば、顧客へのインタビューやユーザビリティテストなどを実施して課題を見出し、そこから仮説を立てて「顧客の視点」によりそった施策を見出すことができます。
ただ、つねにリソースがあるとは限りません。そんなときには、まずは「Eat your own dog food」という言葉を意識して運営しましょう。
「Eat your own dog food」とは?
文字通り訳すと「自身でドッグフードを食べよ」という意味ですが、IT業界では、「ユーザーに提供するサービスは、提供者である自分自身で使ってからリリースしよう」と解釈されています。
1988年にマイクロソフト社内で使われ始めた言葉で(参考:Eating your own dog food - Wikipedia)、今では「dogfood(ing)=試験運用する」という単語にもなっています(dogfood の意味・使い方|英辞郎 on the WEB:アルク)。
とにかく「自分で使ってみろ」ということですね。
「顧客の視点に立つこと」は意識しないと難しい
みなさんは、ご自身が業務で手がけているサイトやコンテンツを、いちユーザー(=顧客)として閲覧していますか?まさか、快適なオフィスで、大画面モニター、ハイスペックパソコン、高速インターネット回線を使用してチェックしているだけではありませんよね?
「顧客の視点に立つこと」とは、快適な環境で、サイト構造を熟知した担当者が出来上がったばかりのページを閲覧することではありません。
たとえば顧客のなかには、スマートフォンのように小さな画面を使用していたり、回線状態が悪い環境にいたり、移動中のような限られた時間のなかでウェブサイトの閲覧をしている方もいるでしょう。 また、環境はウェブサイト閲覧に最適であっても、試行錯誤しページを遷移しながら目的にたどり着ける方もいれば、途中であきらめ離脱してしまう方もいるかもしれません。 開発担当者の視点からではわかりにくいことに気がつかないままでは、顧客の視点を忘れていることになります。
顧客との機会損失を放置した状態にならないようにするためには、まずは一連のユーザー行動を模するような方法でサイトを利用してみてください。そこで気づく問題は小さなものかもしれませんが、それらの改善を重ねる習慣をつけることがたいせつです。本当に顧客に役立つサイトになっているか振り返るため、新しく公開したものだけでなく過去のものでも、精査が必要なコンテンツに対して「Eat your own dog food」をおこないましょう。これらが当たり前になれば、組織としてさらに本格的なPDCAをまわすことにもつながるはずです。