自社では数多くのウェブサイトがあり、さらに最近では多くのソーシャルメディアアカウントが増え、いわば乱立しているのが現状です。きちんとガバナンスをしなければならないと課題認識していますが、実際には、何をどのようにやらなければならないのでしょうか。
幅広い側面を持つウェブガバナンス
ウェブガバナンスとは、自社におけるウェブ活用を統治することですが、以下のように、さまざまな側面があります。
- サイト体系の整備(部門ごとに勝手サイトを乱立させる「マルチサイト症候群」の防止を含む)
- 一貫性のあるブランド訴求
- ユーザビリティやアクセシビリティといった、基本品質の保持
- ドメインネームなど知的財産の管理
- 脆弱性対策や顧客の個人情報保護といった、リスク管理
- MA(マーケティングオートメーション)や CRM (顧客関係管理)にかかわるシステム導入などに伴う、適切なコスト管理(重複投資の防止)
こうした幅広い側面を適切にハンドリングすべく、ガバナンスのより所となるガイドラインやルールの策定、ガバナンス実務をスムーズに回すためのワークフローの整備、社内への教育(普及啓蒙)や内部監査といった活動をおこなうことになります。
あらゆる顧客タッチポイントが対象
昨今では、企業のウェブ活用は自社サイト(オウンドメディア)だけにとどまらず、Twitter、Facebook、YouTube、Instagram といったソーシャルメディアの活用も盛んです。ひとくちにウェブといっても、顧客タッチポイントが多岐にわたっているのです。
そのような中、あらゆるタッチポイントで一貫して良質な顧客体験を提供できるようにするために、ウェブガバナンスはオウンドメディアとソーシャルメディアのどちらも対象としてカバーする必要があります。上述の、ウェブガバナンスのさまざまな側面の中で「サイト体系の整備」を挙げていますが、各種ソーシャルメディアの目的や位置づけなども、自社サイト体系の中で明確に定義づけしましょう。
幅広い視点とオープンなコミュニケーションが不可欠
ウェブガバナンスを社内のどの部署で担うかは難しい問題で、各社それぞれに頭を悩ませ、試行錯誤しているのが現状です。ひとつ言えるのは、適切かつ円滑なウェブガバナンスを継続的におこなうためには、以下のような多くの視点を幅広く同時に持ち合わせる必要があるということです。
- 情報システム(ICT技術)の視点
- 広報(コーポレートコミュニケーション)の視点
- ブランド戦略の視点
- 品質保証の視点
- マーケティングの視点
また、ウェブガバナンスは日々、「想定していなかった新しい事案」の連続でもあるので、コンテンツオーナー部門とのオープンなコミュニケーションも重要です。このコミュニケーションをおろそかにすると、ガバナンス活動は「お役所仕事」的になり、各部門においては個別最適アプローチで勝手にやろうという力学が強くなります。
優れたウェブガバナンスを築くのは時間がかかるものですが、「元の木阿弥」になるのは一瞬です。そうならないためにも、コンテンツオーナーの立場を尊重しつつ全体最適の重要性を共通認識してもらえるようなバランスのよいコミュニケーションを、継続的にしていきたいものです。