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ビジネスプロセス可視化フレームワーク
「ビジネスプロセスマップ」の活用法

投稿日: | 投稿者:谷川 雄亮

あやとりでは、デジタルを活用したマーケティング変革やDX推進を目指す企業向けに、ビジネスプロセスを可視化フレームワークとして「ビジネスプロセスマップ」を研究開発し、数多くのプロジェクトで取り入れております。 本コラムではビジネスプロセスマップを作成するメリットや効果的な活用方法についてご紹介します。

「ビジネスプロセス」とは?なぜ重要なのか?

ビジネスモデルとビジネスプロセスの関係

ビジネスモデルとは:事業の骨格となるアイデア、価値を生み出すしくみ

ビジネスモデル
  • 顧客は誰か?顧客はどのようなニーズや課題を持っているか?
  • 顧客にどのような価値を提供するのか?
  • 顧客提供価値はどのように生み出すのか?


ビジネスプロセスとは:ビジネスモデルを実行可能な状態にし、顧客へ価値提供する流れ

ビジネスプロセス
  • 顧客はどのような流れで行動しているのか?
  • 顧客対してどのような流れで接点を持ち、関係を築くのか?
  • 顧客との接点に対して、サポート部門やシステムはどのタイミングでどのようにかかわるのか?
  • 顧客に価値をどのように届け、どのように対価を得るのか?


参考書籍:ビジネスプロセスの教科書―アイデアを「実行力」に転換する方法

良いビジネスモデルでも、良いビジネスプロセスに落とし込まれなければ実現されない

このように、ビジネスプロセスとは、企業がビジネス目標を達成するために、従業員または利害関係者によって実行される一連のステップです。 ビジネスモデルが「事業の骨格となるアイデア、価値を生み出すしくみ」だとしたら、ビジネスプロセスは「そのビジネスモデルを実行可能な状態にし、顧客へ価値提供する流れ」のことです。

したがって、どれだけ秀逸なビジネスモデルを描けたとしても、良いビジネスプロセスに落とし込まれなければ実現されることはありません。

デジタルディスラプターは「ビジネスプロセス」の変革を起こしたことに価値がある

デジタルディスラプター

クラウドやビッグデータ、IoT、AIなどのデジタル技術を活用することにより、既存の業界の秩序やビジネスモデルに対して「創造的破壊」をするプレイヤーのことをデジタル・ディスラプターといいます。 今後、あらゆる業界でデジタル・ディスラプションが起こり、業界トップ10社のうち平均4社がその地位を失うといわれています。そして、過去に比べて競争勢力図の変化スピードがあきらかに上昇しています。 オンライン書籍販売、サブスク型の動画配信サービス、アプリやウェブを利用した配車サービス、民泊のマッチングサービスなど、デジタル・ディスラプターを容易に想像できる業界もあります

これらの有名なデジタル・ディスラプターの事例を見聞きすると、高いIT技術に注目されがちですが、新しい機能やサービスによって新しいニーズを創出するために、ビジネスプロセスの変革を起こしたことに本質的な価値があります。 つまり、従来の業界の常識を根本から変えるビジネスモデルが実現するために、新しい「ビジネスプロセス」を生み出したことで、他社にまねできない競争優位性をもたらします。

DXやデジタルマーケティングツール導入がうまくいっていない理由

このようなデジタル変革の先駆者に続くため、「目指せDX」を号令に業種・業界を問わず、システム構築やデジタルツール導入を足早に進める企業が増えています。 コロナ禍による外的環境の急激な変化もあり、2020年以降はそれまでとは大きく異なるスピード感で進んでいます。 しかし、プロジェクト発足数は急増しているものの、導入したデジタルマーケティングツールやITシステムが使いこなせずに行き詰っている企業の事例を見聞きすることも多く、成功確率は決して高くありません。なぜうまくいっていないのでしょうか?

つくった機能の64%はほとんど使われていないという事実

少し古いデータになりますが、アメリカの調査機関であるスタンディッシュグループがソフトウェア業界についてまとめた「CHAOSレポート2000年版」では導入したシステムの実に64%がほとんど利用されていないという驚きの数字が示されています。

失敗してしまっている原因は何か?

失敗原因は企業によって異なりますが、往々にしてある有力な原因のひとつが、手段であるソリューションを導入すること自体が目的化してしまっていうことです。

たとえば「顧客データを統合管理するデータHUBシステムを導入しなければ!それを何のために使うかはこれから考えよう!」という状況です。導入目的が不明瞭なままソリューション=手段を進めてしまっているとしたら、失敗の要因はベンダーがもたらした技術ではなくビジネス側の問題にあります。 新しい技術を導入しても、従来組織の境界を越えて使いこなしてもらい、それがビジネス要求に応えられなければ意味がありません。

この課題解決をするうえで有効なのが、ビジネスプロセスの可視化

なぜビジネスプロセスの可視化が重要なのか?

ビジネスプロセスマップ作成ワークショップ

DXにつながるデジタルソリューション導入を実現するためには、ソリューションの上位概念であるビジネス要求(ビジネスのニーズを簡潔に表現したもので、その企業の取り組みの最終目標となる要求事項)やステークホルダー要求(プロジェクトに際してビジネス要求を実現するにあたって関係している立場の者から寄せられる要求)を明確にする必要があります。

とはいえ、ビジネス要求やステークホルダー要求を具体化することは容易ではありません。そこで役立つのがビジネスプロセスマップを用いてビジネスの流れを可視化し、ビジネス要求やステークホルダー要求を明確にするという方法です。

ビジネスの流れを可視化したうえで、上位要求との紐づきを意識しながらソリューション要求を分解していくことで、そもそもの目的から外れることなく解決手段を決められるようになります。また、顧客視点を常に意識しながら検討することで、組織都合が優先されてしまうという事態を防ぐこともできます。

「ビジネスプロセスマップ」とは?

「顧客の行動」と「自社の活動」の両面から俯瞰したサービスプロセス全体図

ビジネスプロセスマップ ビジネスプロセスマップとは、「顧客の行動シナリオ」と「自社の各部門業務」の両面からサービスプロセス全体を1枚の図にまとめたものです。 顧客接点に沿って自社各部門の活動を図式化することで、サービスプロセス全体を俯瞰して課題整理し、業務改善やデジタル活用のポイントが検討できます。

ビジネスプロセスマップ使い、顧客視点に立ってビジネスプロセスを再構築する

BPRが求められる背景

ビジネスプロセスマップをつくった後、どんな活動が推進できるのか?

業務改革方針やデジタル活用策を決めて、変革に着手する ビジネスプロセスマップでサービスプロセス全体を視可化することで、ビジネスモデルの競争力を高めるための具体的な施策や組織構成案が検討できます。 「目指すビジネスプロセスを実現するためには?」を常に意識しながら変革活動をおこなうことで、ソリューション導入が目的化してしまうことなく、DX活動を推進できるようになります。 ここからは、ビジネスプロセスマップ作成をつくったあとに取り組める活動例をいくつかご紹介します。

マーケティング施策の変更

オフラインとオンラインで最適な顧客アプローチを検討する

人や店舗がやること(オフライン)、デジタルが賄うこと(オンライン)のすみ分けをおこない、これまでよりも良質な顧客体験を提供できるよう検討することができます。

店舗ごとにバラバラだった広告宣伝のやり方や店内POPなどを見直したり、MAなどデジタルマーケティングでできることを明確に整理したりすることで、オンラインとオフラインで最も適した方法を検討することができます。

マーケティング施策の変更


ITによる業務効率化

ITツールの活用で生産性を向上させる

ビジネスプロセスマップでサービスや各部門の関係性や業務内容が確認できれば、営業プロセスやバックオフィス業務など、詳細業務プロセス設計図の作成につながります。 詳細フローを見ながら、ITツールの導入箇所を選定し、これまでの業務がどのようにどこまで効率化できるか検討することが可能です。
ITによる業務効率化


部門・組織間の問題を改善

意図せずとも分断されがちな各部門・組織の活動をつなぐ

普段は直接会話する機会が少ない複数部門が集まってビジネスプロセスマップを作成することで、

  • 他部署に共有することでより意味を持つもの
  • どこの部署でも同じ業務をおこなっている

などの発見につながることがあります。 こういった気づきをきっかけに他部門の業務内容やマインドを理解でき、組織間の壁を越えた協力体制をどう築くことできるのかを検討することができます。

部門・組織間の問題を改善


プロセスKPIの見直し

縦割りで組織都合になっていた指標を改め、顧客視点での指標を定める

ビジネスプロセスマップで顧客接点を常に意識しながら前後の工程との関係性を整理することで、月間○○件など、1人最低○○○円など自社都合でのなっているKPIをあぶりだすことができます。 そのうえで顧客の購買プロセスのなかでどれだけ気持ちを高められているか、どれだけ信頼をしてもらえているかなど、顧客視点での重視すべき業績評価指標を考えることで組織の動きを見直すきっかけができます。
KPIの策定/見直し


サービス改善点の発見とそのための取り組み

顧客提供価値をより高めるようにサービス改善を図る

お客様の認知~購入までのプロセスを俯瞰して見ると、

  •  お客様がどういう気持ちで来店しているか
  •  お客様はどんな不安や期待があるのか
  •  その気持ちに対し我々はサポートできているか

など各シチュエーションにおけるお客様のマインドを確認することができます。 それをふまえて、お客様の気持ちに寄り添ったサービスへの改善や商品戦略の検討につなげることができます。

サービス改善点の発見とそのための取り組み


ビジネスプロセスマップを使った活動事例

事例1:顧客関係強化でしのぎを削る住宅販売会社

顧客との長期的な関係づくりのマーケティング戦略立案に活用

作成した背景

数十年という顧客との長い関係づくりをより強固にするため、マーケティング部門や営業部門、サポート部門など、顧客とかかわる部門が一緒になってビジネスプロセスマップを作成しました。

その後の取り組み

これにより、デジタルシフトがもたらした顧客接点の変化について共通理解が深まりました。時代に適した顧客関係をつくるための施策を棚卸しして、優先順位をつけて実行しています。


事例2:縦割りでDXが進まない自動車関連企業

DXに取り組むプロジェクト推進する組織横断チームづくりに活用

作成した背景

縦割りで組織が分断されてしまっており、隣の部署が何をしているかわからない状態でした。 共同でビジネスプロセスマップ作成に取り組むことで、組織が一体となってDXを推進するための考え方をすり合わせました。

その後の取り組み

作成したビジネスプロセスマップで全体を俯瞰したうえで、業務領域ごとに深堀して詳細分析をしました。 これをきっかけに、IT活用による投資対効果を検討し、DXに取り組むプロジェクトが発足しました。


事例3:営業活動の環境が激変している製薬会社

営業接点をデジタルに置き換えていくための戦略立案に活用

作成した背景

製薬業界では法改正や業界規制によって、従来のMRによる訪問営業中心の活動が困難になりました。 営業接点をデジタルに置き換えていくための戦略を練るために、ビジネスプロセス作成に取り組みました。

その後の取り組み

オンラインを活用した顧客接点の創出をする取り組みへと進んでいます。さらに、役員会議でビジネスプロセスマップが業務改革のヒントになると評価され、さまざまなプロジェクトで活用することになりました。


ビジネスプロセスマップの作成手順

最後に、ビジネスプロセスマップ作成のおおまかな手順とアクションプラン実行の流れをご紹介します。

ビジネスプロセスマップ作成の流れ

ビジネスプロセスマップ作成を取り入れたい方へ

公開講座

1日間のオンライン講座で、ビジネスプロセスマップ作成の効用や作成手順を学べます。

導入ワークショップ

社内の主要メンバーとともに作成体験ワークショップをおこない、今後の取り組み策を検討します。

プロジェクト実践

ビジネスプロセスマップを作成してマーケティング変革に取り組むプロジェクトを伴走します。

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