「ONE JAF」のキャッチフレーズのもと、全国600人のマーケティング体制を変革
事業内容 | ロードサービス、会員優待、交通安全講習、モータースポーツ振興等 |
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従業員数 | 3,396名(2020年3月末時点) |
JAF会員数 | 1,995万1,161名(2021年8月末時点) |
サイトアクセス数 | 約2億2,000万PV(2020年度総計) |
本部所在地 | 東京都港区 |
プロジェクト概要 |
JAF様では、中期経営計画に沿って5か年のウェブ改善ロードマップを策定して、ウェブサイト改善に取り組んでいます。 「ONE JAF」のキャッチフレーズのもと、組織横断のクロスファンクショナルチームを創設。 段階的にウェブサイトリニューアルを進めながら、全国600名の職員がCMSで更新する組織を作り、マーケティング活動のデジタルシフトを進めるプロジェクトを進行しています。 |
抱えていた課題背景
以下の課題があり、ウェブサイトを作り直すだけではなく、運営する組織の在り方を変える必要に迫られていました。
- 「PV至上主義」「縦割り組織」によるウェブ運営を長年積み重ねてしまった
- その結果、運営サイトが70サイト以上(20万ページ以上)に肥大化してしまっていた
- 各サイトの管理担当部門も制作会社も異なり、ドメイン名、操作性、使用用語がばらばらだった
- 組織としてのウェブサイト運営を統合的にマネジメントする体制ができていなかった
- 全国の職員600名がウェブサイトの更新運営をおこなう業務体制にもかかわらず、定期的な人事異動もあってマーケティング人材が社内に育っていなかった
取り組み1:ウェブ戦略策定と組織横断マネジメントチームの創設
01. 組織横断チームビルディング
組織横断でウェブ戦略を練るためのプロジェクトチームを立ち上げ。各部門のマネジャーが集まり、ウェブ戦略策定に「90日間」で集中的に取り組みました。
02.ビジネスプロセスマップの作成
「顧客の行動」と「自社の活動」の両面から、ビジネスのプロセス全体を1枚の図にまとめ、各部門活動を踏まえたウェブサイトの役割を議論しました。
03. 課題棚卸しと目的定義
サイト構造、掲載コンテンツ、システムインフラ、業務フロー、アクセス解析など多面的に課題を洗い出し、ウェブサイトの目的と果たす役割を再定義しました。
04.プロジェクト憲章の策定
部署や事業で分断されることなく、誰から見ても「ひとつのJAF」としての顧客体験を提供できるよう、プロジェクト憲章「ONE JAF宣言」を策定しました。
取り組み2:RFP作成と開発ベンダー選定
01. 開発ロードマップ策定
肥大化したウェブサイトやシステムを段階的に統合リニューアルするため、中期ロードマップを策定して各フェーズのスコープ(開発範囲)を決定しました。
02.要求一覧の作成
全401件の解決したい課題をリストアップ。「設計/デザイン」「システム」「データ移行」「組織内部課題」など、種別に応じて分類した要求一覧に整理しました。
03.RFP作成
洗い出した要求一覧を「自社でやるべきこと」と「専門家ベンダーに任せるべきこと」を仕分け、開発業者選定をおこなうためのRFP文書を作成しました。
04.開発ベンダー選定
長期プロジェクトを共にできるパートナーを採用するため、コンペ開催手順や評価基準表作成など、客観的に評価できるしくみに配慮して業者選定を支援しました。
取り組み3:段階的ウェブサイトリニューアル開発
01. プロジェクト体制構築
社内メンバー向けにウェブマネジメント®講座を開催するなど、開発着手に向けて知識習得やチームビルディングをおこない、社内体制や会議体を整備しました。
02.要件定義
要件種別に応じてメンバーを選定し、分科会を編成。専門用語が飛び交うベンダーとの会議における「通訳」と参加したり、意思決定の補助をおこないました。
03. 設計/開発
プロジェクトベースドラーニング(プロジェクトを通してプロジェクトを回せる人材を育てる)ことにも注力しながら、設計や開発工程を伴走しました。
04.運営ガイドライン策定
新CMSを使って、全国でガバナンスが効いたウェブサイト運営ができるよう、運営ガイドライン(理念編、管理編、実務編、用語規程)を策定しました。
取り組み4:全国の職員を巻き込んだ組織横断のマーケティング変革
01. ウェブマーケ実践チームの創設
全国の地方支部からリーダー候補となるメンバーを任命し、、全国にデジタルマーケティングを実践するチームづくりの場を創設しました。
02.勉強会/ワークショップの開催
対面およびオンライン会議で、ウェブサイト運営の基礎知識から事業構想の立案まで、マーケッターに必要な知識とスキルを習得するための研修をおこないました。
03. 事業企画策定グループワーク
部署や地域の垣根を超えてチームメンバーを小グループ分け、ウェブ事業計画の立案やウェブマーケティング企画を立案するグループワークをおこないました。
04.テストマーケティングの実践
企画内容を正式事業へと発展させていくため、リーンスタートアップやアジャイル開発の進め方を取り入れたテストマーケティングの実践をサポートしました。
成果
5か年計画のなかで「フェーズ1」「フェーズ2」として定めた対象ウェブサイトやシステムは目標日に事故なく、計画通りに利用開始となり、全社活用がスタートしました。
業務改革のためのIT導入は導入した先の運用の定着が大事で、乗り越えなければいけない課題はまだ残っていますが、プロジェクト主管部門のメンバーや全国各地の推進リーダーが協力しあい、デジタル時代に即した業務のしかたを浸透させる取り組みを継続しています。
プロジェクトを振り返って
あやとりさんには、マーケティングの考え方を根本から教えてもらいました。いつも顧客目線でリードしてもらえたので、忘れがちなことに気づかせてくれました。
職員のウェブリテラシーやプロジェクト経験が少ないなか、JAFという組織のことを理解したうえで、ベンダーと社内の間に入って「通訳」をして、やさしく解説してもらえたおかげで、決めるべきことを適切に判断ができました。
社内各部門との調整に行き詰まったときに、社内説明用の資料作りや会議同席などを支援してもらえたため、合意形成がスムーズにできました。
ウェブサイトリニューアルは、プロジェクトを通じて「どのような人が顧客なのか」「何のためにこの事業をしているのか」「自社の強みは何か」「将来どのようになりたいのか」を改めて皆で考えるプロセスが大事です。
今回のJAF様のプロジェクトでは、社内外のプロジェクトメンバーが一丸となって課題を乗り越え、議論を尽くすことができました。
メンバーの皆さんからいただいた「このプロジェクトに携わることができて良かった」とのお言葉が、何よりもうれしいメッセージでした。あやとりに任せていただき、ありがとうございました。