日本を代表する「インターカルチュラル・シティ」の
実現に向けた、情報発信力の強化
公益財団法人浜松国際交流協会(HICE)は、浜松市等によって1982年に設立された中間支援組織です。
浜松市多文化共生センターおよび浜松市外国人学習支援センターを運営しており、 国際交流・多文化共生の推進拠点として、在住外国人への多言語による情報提供・相談、日本語学習支援を始め、 国際交流・理解の促進、多様性を生かしたまちづくり事業等を実施しています。
プロジェクト概要
浜松国際交流協会(以下 HICE)様では、浜松市が「日本を代表するインターカルチュラル・シティ」とするビジョンを掲げていることからその足掛かりともなる情報発信力の強化に取り組んでおり、その施策の一環としておこなわれたウェブサイトのリニューアルをご支援させていただきました。
※「インターカルチュラル・シティ」とは、移住者や少数者によってもたらされる文化的多様性を、脅威ではなくむしろ好機ととらえ、都市の活力や革新、創造、成長の源泉とする新しい都市政策のことをいいます
浜松市は2017年にアジアで初めて「インターカルチュラル・シティ・プログラム(ICC)」に加盟しています
#リニューアルプロジェクトマネジメント #経営計画とのすりあわせ #関連部門ヒアリング #顧客定義 #ウェブ担当者育成 #現状サイト分析 #RFP作成 #サイト構造設計 #画面レイアウト設計 #ユーザビリティ/アクセシビリティ設計 #ウェブデザイン制作 #更新システム(CMS)導入
課題背景
ウェブサイトを構築してから10年が経ち、多くの課題を抱えていました。
目指す姿
3つのサイトを統合したポータルサイトに
上記のなかでも大きな課題としてあったのが、組織事情で3つのサイトに分けていたことによる情報の分断でした。
これらのコンテンツをひとつのポータルサイトにまとめるにあたり、情報の整理や構造の大幅な見直しをおこないました。
取り組み/おこなった施策
多様なユーザー属性に配慮したサイトづくり
ターゲットユーザーの整理
HICE様の事業および、それが対象とするユーザーは多岐に及びます。外国人か日本人か、企業・団体か個人か、市内か市外、海外在住か…さらに利用するサービスや目的にも幅があり、これらの組み合わせは膨大です。
これらの多様なターゲットユーザーを11の属性に分類し、それぞれが対象となる事業と付け合わせながらサイト構造、導線を設計しました。
コンテンツの構造整理と導線設計
3サイトに点在していたコンテンツをポータルサイトとしてまとめるにあたり、これまでの管轄による情報の縦割りを取り払い、上記で定義した多様なユーザーの目線で整理をおこないました。
更新担当者の業務効率向上と、利用者の使い勝手向上を両立する多言語サイトの構築
「日本語」「英語」「ポルトガル語」「やさしい日本語」のマルチ言語サイトを構築しました。さらに、フィリピノ語やベトナム語といった利用ユーザーが比較的少ない言語についても1ページのみの専用テンプレートを用意することで、サポート言語を全9言語まで拡大しました。
※やさしい日本語とは、難しい表現を使わずに日本語レベルの高くない外国人や子どもにも読みやすくした表記方法で、近年多くの自治体や企業でも注目を集めています。
今回のようなマルチ言語サイトを運用するにあたって、言語間で対応するページをシステムで紐付けて管理することで、更新運用担当者にとってはページ作成の作業効率を高め、利用者にとっては言語間での行き来を容易にして使い勝手向上を実現しました。
また、やさしい日本語サイトの構築運用にあたって、ふりがなの編集が複雑になるために機能や表現方法に制限が出てしまう課題がありました。
ルビ振りや、やさしい日本語への翻訳が簡単におこなえるプラグインの導入や、テンプレートのカスタマイズなどにより更新性を大きく向上、やさしい日本語の品質をワンランク上に押し上げる工夫をしました。
サイトロゴの作成
3団体のサイトを統合するにあたり、ポータルサイトとしての新しいブランドを立ち上げました。
ブランドイメージのすり合わせをおこないながら、サイトロゴを作成しました。
運営者にとってもやさしいウェブサイトを目指して
CMS開発とコンテンツ登録の同時進行
一般的なウェブサイト開発で行われている「ある程度完成したウェブサイト(CMS)にコンテンツを登録する」方法を見直し、システム開発前から同時進行でコンテンツ登録を進める方式を取りました。
これにより従来の方式と比較し、以下のようなメリットを実現しました。
- 公開までのスケジュールを短縮
- 作業期間にゆとりができ、公開直前の負荷を軽減
- 早期から実際の環境での操作練習を兼ねるため、公開後の運用への移行がスムーズ
WordPressの専用カスタマイズ
WordPressの導入により、HTMLなどの知識がなくてもノーコードで編集が可能に。 多言語化など複雑な仕様を要する箇所などは独自にカスタマイズをすることでより効率的なページ編集を実現しました。
操作マニュアルや編集者向けガイドページの作成など、サイトの更新作業を内製化する土台づくりにも注力しました。
ウェブ担当者育成研修
ウェブサイト運営の基礎知識から業務手順まで、ウェブ担当者に必要な知識とスキルを習得するための研修をおこないました。 その他にもプロジェクト計画やワークショップの支援など、ウェブサイトを活用できる体制づくりのための施策にも取り組んでいます。
プロジェクトを振り返って
当協会として初めての大規模リニューアルだったこともあり、当初から組織内の責任者に判断を迫られる場面での説明のしかたに苦労しました。理由や背景を上司に説明する際、あやとりさんが組織体制を把握したうえで進め方や言い方を考え、フォローしてくれましたので着実な意思決定ができました。
サイト愛称やロゴ、メインカラーの選定など全職員に投票してもらうプロセスを踏んだことで、「みんなに関わってもらえているサイトなんだな」と実感しました。
今後は、こちらが一方的に情報を提供するだけではなく、利用者に情報を活用してもらえるようなコンテンツを充実させていきたいと思います。
(HICE担当:鈴木様)
異なる言語・文化圏においてはウェブサイトのあり方も大きく変化します。
「多様な人々がひとつのウェブサイトに集まったとき、何をしてあげられるのだろうか?」日々、自問と発見を繰り返しながら進めたこのプロジェクトは、私たちにとっても大変充実したものになりました。
この度は、あやとりにお任せいただきありがとうございました。
これからもHICE様の多文化共生のパイオニアとしてのご活躍に寄与できるよう尽力してまいります。
(あやとり担当:伊藤)