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顧客のニーズを満たす自社の強み、経営資源の見極め

投稿日: | 投稿者:ayatori

不確実な時代における事業創造のマインドセットを考えていくという大きなテーマをかかげて始めたこのコラムですが、前回は、顧客を「わかる」ために何に取り組むのかを取り上げました。

そのために活用できる「空・雨・傘」という枠組みをご紹介し、それぞれの考え方を紹介しました。そして、その枠組みを使って考えたことを実際の顧客との接点をとおして検証したあと、ふたたび枠組みの最初に戻り、それを何度も繰り返し実行すること必要だということをお伝えしました。

この一連の流れでやっていたことは「顧客のニーズを理解すること」と言い換えることができます。
では、顧客のニーズを理解することができれば、新しい事業を創造することができるのでしょうか?今回は、事業を創造するためにもうひとつ考えなければならない「自社」のことについて考えてみます。

1.事業機会の考え方

事業を創造していくためには、まずは事業の種となる機会を見つけることが必要です。事業機会を見つけるために不可欠な要素を単純化したものが下の図です。

右側の「社会、顧客のニーズ」では、世の中、あるいはひとりひとりの生活者が何を求めているのかをあらわしています。これが、前回のコラムで考えた「顧客のニーズ」に相当します。

しかし、それだけで事業を創造することはできません。事業をつくるためには、その顧客のニーズに応えることができる「自社の能力」も必要です。

具体的に考えてみましょう。たとえば、都心部に住むビジネスパーソンが、地方に住む高齢の親の様子が気になっているとしましょう。この場合、この顧客のニーズは「離れて暮らす人の様子を把握したい」ということになるでしょう。

では、この顧客のニーズをどのように満たせばよいのでしょうか?ここで、図の左側の「自社の能力」を考えます。

自社が誰にでも使いやすい製品をつくるのが得意な家電メーカーであれば、離れて暮らす人の家電(電気ポットなど)の利用状況を通知するという昔からあるサービスの進化版をつくることを事業機会と考えるかもしれません。
自社がITサービス開発に長けた企業であれば、ウェブカメラなどを使った見守りサービスの開発を事業機会と考えるかもしれません。
自社が全国に人材を抱える訪問サービスを売りとしているのであれば、離れて暮らす人を定期的に訪問し、その様子を画像や文にしてレポートとしておくるという事業機会を考えるかもしれません。

このように、同じ顧客のニーズであっても、自社の能力、つまり自社が何をできるか、何をするのが得意なのかによって、事業機会が変わってくることがわかります。そのため、事業をつくっていくためには、顧客のニーズを見極めることとあわせて、自社の能力を知ることが必要なのです。

2.自社の能力を「強み」と「経営資源」に分解する

ここまで主に「自社の能力」という言い方をしてきましたが、これを正確に把握するためには、図にあるような「強み」と「経営資源」に分けて考えることが大切です。

「強み」とは、顧客が価値を感じるものです。一方、「経営資源」とは、表に示したような企業が持っている「ヒト、モノ、カネ、情報」のことを指します。

分類 具体例
ヒト 人材、組織、外部とのネットワーク
モノ 設備、土地、IT関連機器
カネ 資金力
情報 (顧客情報などの)経営情報、(技術力、商品開発力、人材育成力などの)ノウハウ

事業をつくっていくということは、「経営資源」を活用して、社会や顧客が価値を感じる、言い換えれば社会や顧客のニーズを満たすような「強み」を提供していくことです。

具体的に見てみましょう。個人用のパソコンをつくっているメーカーは、通常、どこも高い技術力を持っています。よく「弊社の強みは技術力」と言っているのを見聞きすることがありますが、先ほど紹介した表にもあるように、技術力は「経営資源」です。
技術力という経営資源を活用して、「耐久性が高い、タフなパソコンがほしい」という顧客のニーズを満たすために「耐久性が高い」という強みを提供しているのがパナソニックのレッツノートなどの商品です。

一方、同じ技術力という経営資源を活用して、「カッコよくて、使いやすいパソコンがほしい」という顧客のニーズを満たすために「デザイン性が高い」という強みを提供しているのがアップルのMacBookなどの商品です。

同じ技術力という「経営資源」でも、それを使って顧客のどのようなニーズを満たすのか、言い換えれば、顧客にとってどのような「強み」に転換するのかは、それぞれの企業が考える商品戦略などによって変わってきます。

このように「強み」と「経営資源」を分けることで、自社ができることと顧客に提供することを区別することができるので、より緻密に事業を検討することができるようになります。

3.「強み」と「経営資源」の勘違いを避ける

最後に、「経営資源」と「強み」に関するよくある勘違いを紹介しましょう。この勘違いを知ることで、顧客のニーズを満たさない商品やサービスを開発してしまうという落とし穴を避けることができます。

よくある勘違いとは、自社の「経営資源」を「強み」だと誤解してしまうことです。先ほどのパソコンの例で紹介した「技術力が強み」というのもそうですが、他には「全国に拠点があることが弊社の強み」というのもよくある例です。これはどちらも「強み」ではなく「経営資源」です。

「強み」は、顧客が価値を感じるものと紹介しましたが、言い換えれば、顧客が自社を選んでくれる理由です。そう考えると、顧客は「技術力」に着目してパソコンを選ぶのではなく、「耐久性が高い」あるいは「デザイン性が高い」という「強み」に着目してパソコンを選びます。

同じように、レストランで考えてみると、顧客は「全国に拠点がある」からそのレストランを選ぶわけではありません。たとえば出張先で居酒屋を探さなくてはいけないという状況で「全国チェーンなので、どういうメニューがあり、どれくらいの価格帯かわかっているから安心」という「強み」に着目して選びます。
言い換えれば、仮に全国に拠点があったとしても、それが顧客のニーズを満たすことに貢献していなければ、それは「強み」とは言えません。

そのため、まずは「強み」と「経営資源」を区別するという視点を持ち、「なぜ、顧客は他社ではなく、自社を選んでくれるのか?」と考え、顧客のニーズを満たす真の「強み」を見極めて、顧客に選んでもらう事業をつくっていきましょう。

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